黄斑前膜の治療
網膜上膜、網膜前膜、黄斑上膜などともよばれ、黄斑の網膜表面に薄い膜が形成される病気です。膜が縮んでくると、網膜自体にも皺(しわ)ができます。加齢に伴って形成される特発性のものがほとんどですが、他の病気に伴って生じる続発性のものもあります。
早期には自覚症状はなく、人間ドックなどで偶然発見されることも珍しくありません。進行すると、網膜にしわができるために、物が歪んで見えたり(変視症)、物が大きく見えたり(大視症)、視力が低下したりします。特発性の場合には進行が非常にゆっくりであることが多く、数年から10数年の経過でじわじわと進行していきます。続発性のものは、特発性よりも進行が早いことが多いとされています。
黄斑前膜の治療は手術加療しか方法がありませんが、自覚症状が軽度で生活に支障がない場合には必ずしも手術をする必要はなく様子をみることが多いです。自然に網膜からはがれて改善することもありますが稀です。病態が進行し、変視症が強くなる、視力が低下するといった症状が自覚されるようになれば硝子体手術の適応となります。網膜表面に存在する膜を小さなピンセットで摘まんで、除去します。白内障の手術も同時に行うことが多いです。黄斑前膜に対する硝子体手術は当院での対応が可能です。
手術を行うかどうかは、ゆがみの程度、視力、生活への影響、膜の状態、進行スピードなどを考慮し、患者さんと相談して総合的に判断して決めます。適切なタイミングで手術の必要性について相談できるように、膜の状態・自覚症状について進行傾向があるか、定期的に経過観察していくことが必要です。